増える空き家問題を分かりやすく解説。実家相続と気になる空き家管理の現実

最近、空き家をよく見かける…そう感じることはありませんか?現代の日本では日々新築住宅が作られ、総世帯数を上回る数の住宅が存在しています。平成25年10月1日時点で総世帯数約5245万世帯に対して、総住宅数は約6063万戸と、実に約820万戸もの住宅が余っています。(平成25年住宅・土地統計調査による)

そして先日ある数字が公表されました。それは、2033年全国の空き家数が2,167万戸、率にして30.4%、現在の空き家率は13.5%ですのでさらに倍以上に増えるということを示しています。

グラフ

引用:実績値は総務省「住宅・土地統計調査」より。予測値は株式会社野村総合研究所より。

人口減少は避けられず今後ますます空き家が増えていくことになるでしょう。更に少子化や核家族化などにより、親の家を相続するケースも増えていくことでしょう。すでに、相続した家を放置し、空き家として抱えてしまうという事例も聞かれます。今回は他人事ではない実家の相続、そして空き家問題について紹介していきたいと思います。

空き家はお金がかかる

事例:都内住まいの家族が、地方の実家を相続したAさんの場合

都内の会社に勤めている50代のAさん。妻と子2人で、郊外にマンションを購入し生活していましたが、3年前に母を亡くし長野県の実家を相続しました。売却も検討しましたが、両親との思い出が詰まった家をお金に換えることに気が引けてしまい、そのまま所有し続けています。

とはいえ放っておくと庭に草は生い茂り、家はあっという間に朽ち果ててしまうため、奥さんが3カ月に1回位の割合で実家を訪れ、空気の入れ替えや掃除、庭の草刈りをしています。交通費以外にも、税金や下の表のその他費用を足していくと、年間約40万円以上もかかっていることが分かりました。

空き家管理で発生する費用例

内容
交通費 新幹線(東京駅〜長野駅)
片道約8,000円。夫婦2人で往復32,000円。年間4回で約13万円。
税金 固定資産税や住民税の均等割
保険 火災保険
光熱費 掃除や宿泊のために必要
その他 冬場の雪下ろし費用等

相続した当初は空き家を所有することにこれほどお金がかかるとは思っていませんでした。さらに、この先何年も実家を空き家のまま保有し続ければ、建物自体の補修も必要になるなど、今後益々費用がかかることは明らかです。

空き家を保有する場合、固定資産税がかかるということはご存知の方が多いようですが、実はそれ以外にも細かい費用が積み重なるものです。また、実家に行った際の掃除や庭の手入れなどをやる側の年齢も考えると相当難しいということを理解しておくべきでしょう。

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空き家を放っておくとどうなるのか?

我が国の空き家は約820万戸あり、その内訳は賃貸用のものが一番多く約430万戸、次いで活用の目的がなく放置されているものが約320万戸もあるのです。Aさんの事例もこれにあたるでしょう。空き家は、なぜそのまま取り壊しもせずに放置されているのでしょうか?

更地では固定資産税が増えてしまう

理由としては、解体費用がかかることともありますが、一番大きな理由は固定資産税が高くなるからです。もし建物を解体して更地にすると土地にかかってくる固定資産税が3倍以上になるのです。 家が建っている土地は「住宅用地の課税標準の特例」という措置で、本来の固定資産税の6分の1に軽減されています。その建物がなくなると軽減がなくなります。すぐに6倍になるわけではありませんが、それでも3倍以上にはなってしまうのです。

要するに、解体すると建物にかかる固定資産税はなくなりますが、土地の固定資産税高くなってしまうために、あえて使いもしない建物を残すという結果になっているということです。 しかし、空き家が放置されると、景観を損ねますし、ごみの投棄や火災のリスク、治安面の不安と、良いことがありません。

そこで、国は2015年5月から「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家対策特別措置法)を全面施行し、とくに老朽化が激しく倒壊のおそれがあるなど周囲に大きな危険と迷惑を及ぼしている空き家を「特定空家」と定義し、「固定資産税の軽減措置」を適用させなくし、場合によっては自治体の行政代執行によって、空き家を解体できるようにしたのです。

税金

それでも空き家が減らない理由

これだけ空き家問題が深刻化しても、空き家が減らない最大の理由は、今もなお新築を作り続けているということです。もちろん新築の供給をゼロにすることはできません。しかし、特に気を付けたいのは、貸家です。一年間に建てられる住宅の中で最も多く、約4割を占めています。空き家や土地の有効利用として建てられるアパートやマンションがここ数年急増しています。

原因は、昨年1月から20年ぶりに大幅改正され、実質増税になった相続税対策です。「基礎控除額の引き下げ」は、それまでの控除額が4割も減ることとなり、相続税がかかる割合は、全国でこれまでの約4%から5割増しの6%くらいになるだろうと予測されています。 更に、東京近郊では半数近くの人が申告の必要が生じるとさえ言われており、この対策として財産の評価減を狙ったアパート建設がブームになっているのです。

しかし、不動産調査会社のタス(東京・中央)が発表した統計によると、3月時点における借主募集物件の神奈川県の空室率は35%強、東京23区でも30%を超えているというのです。首都圏は地方に比較して、人口流入が続き、不動産の動きは活発で賃貸住宅の需要も多いと言われてきましたが、それでもここまで次々と作られれば、余ってくるのは当然のことと言えます。

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理想の住まいを手に入れる!上達ポイント

空き家の問題は、本人だけの問題ではありません。結婚している場合は両方の親の生活環境も十分知っておく必要があります。実家があり、いずれ親の面倒を見る可能性があるのに、果たしてマイホームを購入する必要があるのか?小さい部分から見直すことも必要です。また、空き屋は、放って置けばすぐに朽ち果てていきます。老朽化が進んだ家は利活用することが難しくなるのです。

昨今は、リノベーションという言葉と共に、古い建物でも再生させるノウハウが生まれてきています。また、これまでと比較して古い建物への抵抗感も少なくなっていますので、自分が考えている以上に利活用する可能性は十分にあります。どのような活用の仕方が自分にとってベストなのか。ライフスタイルを見つめ直し、専門家に早めの相談をしておくことが最善の対策です。

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