高齢者の自宅での転落・転倒事故を防ぐには
自宅での転倒事故。これが意外に多いのです。安全なはずの自宅の中の「危険」を、今一度振り返ってみましょう。
65歳以上の自宅での転倒事故は多い
独立行政法人国民生活センターでは、20歳以上、65歳未満、65歳以上で事故の発生場所を調査しました。どの層も「住宅」が70%以上でしたが、65歳以上は77.1%と最も高い割合でした。
事故の程度を見ると、「中等症」と言う、生命に危険はないが入院を要する状態が、34%を占めていました。事故の種類は、「転落」30.4%、「転倒」22.1%と転落・転倒で半数以上になります。
65歳以上の自宅でも転落・転倒事故の内容
それでは、65歳以上の方が自宅で起こった事故には、どのようなものがあったのでしょうか?
- リビングで、暖房器具のコードが足にからまり転倒。
- 階段などの段差につまずく。
- 部屋の扉、大型冷蔵庫の開閉でバランスを崩す。
- 足がもつれて、家具にぶつかる。
- 靴下が引っ掛かり、転倒。
- ベッドから降りるときに、転倒。
- バスマットやじゅうたん、毛布などに足を取られて転倒。
- スリッパの脱ぎ履きで転倒。
- 歩行器のロックが不十分で、使用中に器具が折り畳まれてバランスを崩す。
何気ないことが、事故につながりますね。
また、一人暮らしの高齢者の場合、発見に時間がかかり、救急搬送後に長期入院になるという恐れもあります。
転落・転倒事故を防ぐには
生活動線を確認
自宅内での転倒・転落を防ぐために、まずは「生活動線」を把握し、その線上の整理整頓を始めましょう。逆に言えば、動線から外れた場所を物置にすると安心ですね。
次にその動線から、トイレや浴室、玄関などへ移動する際に、物が置かれていないか、コードが飛び出していないかを確認し、片付けてきます。不要なコードは処分しましょう。
扉の開閉が必要な場所や、どうしても段差がある場所には簡易手すりを付けるのも効果的です。
照明も確認
部屋が暗いと足元が見えにくくなり、転倒リスクが高まります。明るい照明器具を選んだり、フットライトを廊下やトイレなどに取り付けたりしましょう。
スリッパ・靴下なども
また、スリッパは脱げやすく、靴下は滑りやすいもの(滑り止めがついたものもありますが)。かといって裸足は家具や扉に足をぶつけて、ケガにつながることも。おすすめは、かかとのついたルームシューズです。色々な種類が出ているので、お気に入りを何足か見つけて、ローテーションするのもいいですね。
余談ですが、筆者は入院した際、スリッパやサンダルは不可と言われました。転倒が多いのでしょうか。スリッポンを購入して入院中は過ごしました。
コロナ禍の昨今外出自粛などで気付かないうちに、運動能力が低下している人も増えています。「少し前までは、できていたのに」という思い込みが、事故につながることもあります。少しの工夫で、安全な家に変身させてください。